闇速

けいおん!系SSを中心に、2ちゃんねるからSSスレを独断と偏見でまとめてます。
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律「もっかいやろうぜ!」 

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:35:40.14 ID:RYVa77880
澪「えー、まだやるのか・・・?」

律「いいじゃんいいじゃん、“音合わせたい”言いだしたのは澪だろ?」

澪「もうかれこれ2時間だぞ?そろそろ休んだって・・・」

律「なーに言ってんの!ほら早く早く!」

澪「・・・もう、しょうがないなぁ・・・」


澪「(新しいスネア買ったからって舞い上がって・・・あとどのくらい続くことやら)」



3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:38:46.62 ID:RYVa77880
バン、バン

カツッ


律「・・・疲れたなー・・・」

澪「・・・そうだな」

律「・・・へへへ」

澪「?なんだよ、気味悪いな」

律「だってこれぇ・・・すっげー気に入ったっ」

澪「(・・・本当にうれしそうな顔)」

律「お小遣いためて買った甲斐があったぜ!」

澪「何カ月も、ず~・・・っとショーケースを眺めてたもんな、律」

律「だってこれ・・・すっげー輝いてるし・・・」


バン、バン

律「ほら!まっしろ!」

澪「・・・ははは」



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:42:02.53 ID:RYVa77880
律「澪は新しいベース買わないのか?そろそろ古いだろ?それ」

澪「え?」

律「ほら、ここなんかちょっとはげてるし・・・」

澪「ばっ!み、みるなっ!」

律「へへ、かっこわるー♪」


澪「・・・なかなかさ、良いのが見つからないんだよ」

律「あ、そうか、澪は左利きなんだっけ」

澪「・・・高いしさ・・・数も少ないから、なかなか好みのが見つからないんだよ」

律「大変だなー」

澪「べ、別にお金が足りないわけじゃないんだぞっ」

律「・・・お前わかりやすいなぁ」



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:45:47.23 ID:RYVa77880
澪「・・・で、でも!お金はちゃんとあるからな!買おうと思えばいつだって買えるんだからな!」

律「へぇぇー、そうかいそうかい」

澪「そんな目でみるなよ、本当なんだから」

律「・・・じゃあ今いくらあるの?」

澪「うっ」

律「財布ん中みしてみー?」

澪「わ、こらっ!勝手に見るなっ!」


“2万円”


ごつっ

律「ったぁ!?」

澪「恥ずかしいだろ!」

律「たた・・・ま、まぁ中学生にしては頑張ってる方だよな・・・それは」



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:48:58.87 ID:RYVa77880
バンッ、バンッ

バジャッ

バラバラバラバランッ


律「・・・そうか、でも一応、お金を溜めてはいるんだな」

澪「・・・でも、足りないんだ・・・全然」

律「あー、高いからなぁ・・・」

澪「・・・私だって、すっごい欲しいものくらいあるさ・・・けど」

律「・・・お金がなー」


ザザァ・・・


律「・・・川辺って、風強いなー」

澪「・・・うん」



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:53:19.17 ID:RYVa77880
律「早く高校生になりたいよなー」

澪「・・・・そう?」

律「なんだよ、そんなに中学校が恋しいの?」

澪「・・・・そ、そんなわけじゃない」


律「高校生になればさっ、バイトとかもできるし・・・部活だって軽音部あるし」

澪「・・・軽音部かー・・・」

律「バイト始めればお金たっぷり儲かるじゃない?そんでさそんでさ?それでスタジオ行ったり楽器買ったり・・・」

澪「あ、そっか・・・バイトか・・・」

律「まだ卒業までにもうちょっとあるけどね、それまでには高校生になってからのお金の使い道とか、考えたりしたいなって思うのよ」

澪「・・・律の口から計画なんて言葉が出るとは・・・」

律「ぁん?」

澪「しーらない」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:56:27.89 ID:RYVa77880
バンバンッ、バババババンッ


律「やっぱ、こういう川辺で芝に腰掛けて練習するよりもさっ」

バンバンバンッ

律「スタジオとかさ、そういうところでやりたいよなっ」

バンッ

澪「確かにそうだけどな」

律「だろ?」

澪「・・・バイトなんて・・・私には無理だし・・・」

律「・・・おいー」

澪「わ、私はいいよ・・・高校生になればお小遣い増やしてあげるって、親からそういう約束してもらってるし・・・」

律「(本当に恥ずかしがり屋だな・・・)」



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 21:59:59.83 ID:RYVa77880
ピーポーピーポー・・・


律「・・・」

澪「・・・」

律「なんで救急車のあの音ってさ、遠ざかるとなんか、くにゃぁーってなるの?」

澪「・・・サイレンのことか?・・・えっと・・・なんだろう、周波数が・・・」

律「・・・難しそうだからやっぱいいわ」

澪「き、聞いといてなんだそれは」


ピー・・・ポー・・・

律「・・・もう夕方だなー」

澪「・・・だな」

律「・・・最後にもう一度だけやって帰ろっか?」

澪「・・・そうだな、よし、そうしよう」



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:02:13.37 ID:RYVa77880
律「じゃ、澪とはここまでだね」

澪「そうだな」

律「じゃ、また明日な!いつもの所に集合だぞ!」

澪「わかってるよ、じゃあね」


バイバーイ

澪「・・・ばいばい」

澪「・・・」


澪「・・・遅くなっちゃった・・・早く帰らないと」

澪「(・・・うわ、なんかベースが重く感じるなぁ・・・)」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:05:31.16 ID:RYVa77880
澪「(すごい人だ・・・やっぱりこの時間は人通り多いなぁ)」

澪「(・・・ぶ、ぶつかったりしないかな・・・大丈夫かな)」

澪「(もし肩とかぶつけちゃって・・・怒られたらどうしよう)」

澪「(・・・)」


澪「(・・・こっちの・・・人の少ない道で帰ろう)」

澪「べ、別に怖いわけじゃないぞ」


「ママ、あの人一人で何か喋ってるー」
「あのくらいの女の子にはね、そういう時だってあるのよ」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:08:24.28 ID:RYVa77880
カツ、カツ、カツ・・・


澪「・・・」

澪「(く・・・暗い・・・)」

澪「(通ったことはあるけど・・・あまり通らない道って・・なんか怖い)」

澪「(なんていうか・・・後ろから・・・誰かいそうで・・・あの影とか・・・)」

澪「・・・」

澪「(や・・・こ、怖いっ!自分で妄想しておきながら怖いっ・・・!)」

澪「(は、速足で帰ろうっと・・・!怖くない怖くない・・・)」


タタタタタタタ・・・



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:11:14.32 ID:RYVa77880
澪「(はっ・・・はっ・・・なんだか、夜道を走るってると・・・)」

澪「(後ろに誰かいて・・・その人も、私を追って走ってるような・・・そんな気分に・・・)」

澪「(ば、ばか言うな私・・・ストーカーなんて・・・)」

澪「(それにここは住宅街だし、誰も・・・)」



『・・・ドウゾ』

澪「!! っひゃぁっ!?」



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:14:13.51 ID:RYVa77880
澪「ご、ごめんなさいごめんなさい!何もないんです許してくださいっ!」

『・・・ヲドウゾ』

澪「許してごめんなさいお金はないんですっ・・・・って」

澪「・・・」


レコーダー『・・・ヲ ドウゾ』


澪「・・・何か・・・踏んでた、これって・・・は、ははなんだ驚かせて・・・」

澪「・・・テープレコーダーか・・・踏んじゃったけど壊れてはない・・・」

『アンドゥ ヲ ドウゾ』

澪「・・・」

『アンドゥ ヲ ドウゾ』

澪「・・・」

澪「(な・・・なにこれ!これはこれで凄く怖いっ!)」

『アンドゥ ヲ ドウゾ』



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:16:47.66 ID:RYVa77880
澪「・・・え、えいっ」

ぽち

『アンドゥ』

『・・・』


澪「・・・よし、止まった・・・ふー、怖かったぁ・・・」

澪「・・・メーカーはどこなんだろ・・・んー、聞いたことないな・・・」

澪「・・・あれ、これってよく見たらテープじゃない・・・MDか」

澪「ていうことは、結構新しい奴か・・・ふむふむ」

澪「・・・」


澪「もってかえろっ」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:21:29.55 ID:RYVa77880
澪「・・・持って帰ってきちゃった」

『・・・』

澪「・・・んー?・・・すごい!これ録音もできるっ!?」

『・・・』

澪「や、やった・・・買ったら数万はするかも・・・てことは売れば数千円くらいするから・・・」

澪「(・・・ベースを買う、足がかりになるかも)」

『・・・』

澪「・・・いや」

澪「売るのは律に自慢してからにしよ」

『・・・』

澪「まだ知らない機能があるかも・・・どれどれ」ポチ

ジーッ・・・

澪「あ、これが録音かぁ・・・停止は・・・」ポチ

『アンドゥ ヲ ドウゾ』

澪「っひゃぁっ!?」



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:24:07.53 ID:RYVa77880


律「やっほー、お待たせー」

澪「こらっ、律おそいぞー」

律「ごめんごめーん、ちょっちトラブっちゃって」

澪「もう、次遅れたらやってやらないからなっ」

律「ごめんってばぁ」


律「・・・ん?」

澪「・・・ふふ、気付いたか?」

律「お、それってテープレコーダーってやつ?」

澪「ふふ、そ!いいでしょ、録音もできるすぐれものなんだぞ!」

律「ほぉおおお!」



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:25:52.91 ID:RYVa77880
律「す、すげぇ!なんか見た目しょぼいけどすげえ!」

澪「昨日道端で拾ったんだ」

律「すごい、澪それすごいラッキーだよ!」

澪「そ、そうかな?」

律「ちょっとそれ触らせてよ!もしかしてこれ私たちの演奏も録音できたりして!」

澪「多分できるんじゃないかな?」


カチッ



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:28:25.53 ID:RYVa77880
『・・・(ジィー・・・』

澪「・・・」

律「・・・録音中?」

澪「あ、うん、多分ね」

律「え?うそ、じゃあこの声も録ってる最中?はずっ!」

澪「あはは」

律「え、えっと停止停止・・・あ、これかぁ」

ポチッ


『アンドゥ ヲ ドウゾ』

律「うおっ・・・」

澪「ははは・・・」

律「・・・」


律「・・・捨てようぜ、声が何かキモい」

澪「や、やめろー!川に投げようとするなー!」



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:30:33.27 ID:RYVa77880
澪「こ、これは・・・確かに声がちょっと怖いけど・・・売れば少しはお金の足しになるし・・・」

律「え?売るの?」

澪「当然だろっ、私だって新しい楽器が欲しいんだ」

律「もったいねぇー・・・それ結構高性能みたいなのに」

澪「お前さっき投げ捨てようとしただろっ」

ごつっ


律「・・・でもそれさ、本当に売るのはちょっともったいないんじゃない?」

澪「・・・そうかな」

律「そうよー」



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:32:52.62 ID:RYVa77880
律「ほら、たとえばこれを使ってさ・・・」

澪「うん」

律「何か、どこかのプロデューサーとかに、自作の曲とか応募してみたりとか」

澪「じ・・・自作・・・」

律「そうすればデビューとかできるかもじゃん?もったいないよ、売るのはっ」

澪「デビューって・・・自作って・・・」


澪「・・・か、考えただけで恥ずかしいっ・・・!」

律「(こいつなんでベース始めたんだろう)」



39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:36:21.65 ID:RYVa77880
カチッ

『アンドゥ ヲ ドウゾ』

律「・・・まぁ確かに声は合成音声っぽくてキモいけどさ」

澪「うう・・・その声はなんかニガテだ・・・」

律「これがあれば自分たちの演奏を客観的に聞くことができるっていうかさ」

澪「あ」

律「これで録音して聞きなおせばさ、ズレてるパートとかもわかりやすいでしょ?」

澪「・・・なるほど・・・おお、律にしてはなかなか・・・」

律「なんだってぇ?」

澪「別にー」


律「・・・とにかく、せっかくの音楽関係の機材なんだ、すぐにぽいっと売るのはどうかと思うよ」

澪「う、うーん・・・」

律「しょぼくれんなって!ベースはコツコツお金ためてきゃなんとかなるって!」

澪「そ、そうかな・・・」



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:39:11.37 ID:RYVa77880
律「ん」

“△再生”

律「これが再生ボタンか・・・」

澪「・・・さっきの話を録音したのを聞けるってことだな」

律「うわ、なんかやだなぁ・・・」

澪「・・・あ、でも律、さっき“停止”押したでしょ」

律「え?」

澪「その横っちょに“保存”っていうのがあって、それじゃないと録音にはならないんだと思う」

律「・・・な、なんだって?早く言えよなぁ」

澪「・・・私もそれ使ったこと無いからよくわからないけどね」

律「あてずっぽうかよっ」



44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:42:13.29 ID:RYVa77880
律「えっと、録音で録音開始、停止が録音ストップ、保存で録音を保存・・・」

澪「早くもスネアほっぽりっぱなしだなー」

律「いいの!今はこっちに集中!」

澪「はは」

律「・・・ふむふむ、なるほどね、ボタンしか見てないけどだいたいは操作わかったよ」

澪「おお、さすが律」

律「・・・」

澪「・・・律?」



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:44:49.32 ID:RYVa77880
律「・・・これ、既に何か・・・録音してあるっぽい」

澪「え?」

律「1分42秒、保存・・・って、表示されてる」

澪「・・・あ、本当だ・・・」

律「澪なんか声録音した?」

澪「・・・してない」

律「っていうことは、これを落とした人が録音した何かが入ってるってことだな」

澪「・・・な、なんかドキドキするな」

律「聞いてみようぜ!」

澪「え、ええー・・・?怖いよ・・・」

律「大丈夫大丈夫、って、ほい」

ポチ



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:47:38.54 ID:RYVa77880
『・・・(ジィー・・・』


律「・・・」

澪「や、やめようよ、なんだか怖いって・・・」

律「しっ!声が聞こえる!」

澪「う・・・うう・・・」


『・・・ああ・・・ええ・・・』

律「・・・涸れた声・・・おじいさんかな」

澪「ね、やめよ?これ絶対だめだって」

律「いいから、すぐだし」



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:52:29.20 ID:RYVa77880
『・・・gの、大将様が、許してくれるなら・・・』

律「・・・」

澪「・・・」

『・・・帰りたいです・・・』

律「・・・?なんだろ、聞きとりにくい声だなぁ」

澪「ううー・・・知らない知らない・・・私は知らないぞー・・・」


『・・・んあ、立派な・・んを、・・さにゃならんかって・・・』

律「・・・」

澪「・・・」

『・・・んの、りく・・・んたいで・・・ガ・・・げほっ・・・ぐ・・・がほっ・・・!』

律「!?」

澪「!!」



52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:55:30.36 ID:RYVa77880
澪「り、律っ・・・!」

律「なにこれ!?な・・・何なのよ!」

『げほっ・・・!ぐ・・・!ああ・・・!』

澪「だ、だから言ったじゃないか!呪われてるって!バカ律!」

律「そんなこといったって・・・言ったってぇ・・・!」

『くっ・・・』

『おじいちゃん!?おじ・・・救急車、誰か!』

『! ・・・しまっ・・・げほっ・・・く・・・』


ブツン


律「・・・」

澪「・・・ひっく・・・ひっく・・・うう・・・」



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 22:58:07.27 ID:RYVa77880
『再生ハ 以上デス』

澪「うう・・・!やだ・・・やっぱり拾うんじゃなかったぁ・・・!」

律「・・・再生、終わったっぽいわね・・・」

ポチ

律「・・・ごめん、まさかこんなのとは・・・私もちょっとびびったわ・・・」

澪「ううー・・・夢に出るよー・・・」

律「・・・しかし、この持ち主も大変そうだったな・・・」

澪「・・・くすん、くすん・・・」

律「ごめんってば、もう大丈夫だよ澪」

澪「・・・うん・・・(グスッ」



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 23:01:31.60 ID:RYVa77880
律「つーか澪、お前とんでもない物を拾っちまったな」

澪「・・・捨てよう、もうそれに触りたくない・・」

律「おい、さっきの私へのげんこつは何なんだよ」


律「捨てるっていっても・・・なぁ、やっぱりもったいないし・・・」

澪「い・・・いや!そんなの私、部屋に置きたくない!嫌だからな!」

律「お、おいおい、そこまで過剰に拒否しなくても」

澪「嫌ったら嫌だから!欲しいなら律が持っててよそれっ!」

律「あ、そう?じゃあ貰っておくわ」



58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/04(金) 23:04:50.31 ID:RYVa77880
律「・・・さっきの録音を聞くに・・・おじいさんともう一人、若い女の人がいたけれど・・・」

澪「・・・そうなの?」

律「あったでしょ?なんか“おじいちゃん”って」

澪「・・・途中で耳ふさいでたから・・・」

律「・・・お前なぁ」


律「・・・多分、その人が娘か孫かで・・・それで、その子が咳きこんじゃったおじいさんを心配して・・・」

澪「・・・」

律「とにかく、呪いのテープでもなんでもなかったわよ、ただちょっとトラブルあったみたいだけど」

澪「・・・それやっぱり・・・」

律「返さないぞ」

澪「うう・・・」



67 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:18:50.66 ID:RYVa77880
バンバンッ、バンッ

律「・・・んー、やっぱりなぁ」

澪「ん?」

律「アンプに繋がないと、ベース音が聞きとりにくいな」

澪「ああ、それは仕方ないよ、屋外だしさ」

律「まーそうだけどねー・・・」


澪「・・・」

『・・・』

律「なんだよ、まだ気になってるのかぁ?」

澪「ん、だ、だってさ・・・」

律「まぁ気になるところだけどね」



69 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:21:58.94 ID:RYVa77880
カチッ

『・・・ああ・・・ええ・・・』

『・・・帰りたいです・・・』

『・・・んあ、立派な・・んを、・・さにゃならんかって・・・』

律「・・・」

澪「・・・」

『・・・んの、りく・・・んたいで・・・ガ・・・』

『げほっ・・・ぐ・・・がほっ・・・!』

澪「ね、ねえ止めてよーっ・・・」

律「うっさいなお前はっ」

『くっ・・・』

『おじいちゃん!?おじ・・・救急車、誰か!』

『! ・・・しまっ・・・げほっ・・・く・・・』

澪「・・・うう・・・」

律「あちゃー、やっぱ辛そうだ」



70 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:25:30.26 ID:RYVa77880
澪「・・・このおじいさん・・・可哀そうだな・・・」

律「・・・うん」

澪「咳きこんで・・・発作かな、すごく苦しそうで・・・」

律「・・・」


律「どうしてこれに、録音してたんだろうな」

澪「え?」

律「気にならない?」

澪「・・・なるけど・・・怖いよ」

律「私なんだかすっごいわくわくする」

澪「趣味悪いって」


律「・・・前半は何か、テープに向かって語りかけている感じだから・・・」

澪「・・・うーん・・・何か、録音したいような・・・そんな話だったのかな」

律「全然聞き取れなかったけどなー」



72 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:29:38.87 ID:RYVa77880
ザザァ・・・

律「んーっ・・・あったかぁー・・・」

澪「・・・そうか・・・?」

律「うん、冬にしてはだけど」

澪「・・・まあ、陽もあるし・・・そこそこってとこかな」

律「練習もいいけど、こんな日は服屋とか色々回ってみたくなるよな・・・」

澪「あ、それちょっとわかるかも」

律「でも服買ったらベース買えなくなるな」

澪「うっ・・・・」


澪「・・・やっぱりこのレコーダー売るしか・・・」

律「おい」



73 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:33:33.90 ID:RYVa77880
ザッザッザッ・・・


律「あーあ、結局今日は何もしてなかったなー・・・」

澪「そうだな、練習はできたけど・・・それだけっていうのも寂しいな」

律「ったくぅ!ここまで必死に練習してるんだから、一度でいいからバンド組んでやってみたいぜ!」

澪「えー・・・そう?」

律「なんだよぅ、澪は私とやりたくないってわけぇ?」

澪「そういうわけじゃないけど」


澪「・・・ライブとか・・・恥ずかしいし」

律「(こいつはどうして楽器を始めたんだ?)」



74 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:35:15.60 ID:RYVa77880
律「じゃ、明日学校で!」

澪「ああ、うん・・・学校で!」

律「といっても明後日休日だけどなー、はは」

澪「ふふ、そうだな・・・じゃ、また」


澪「・・・」

澪「(・・・明日は学校・・・か)」

澪「(学校・・・そろそろ卒業かぁ・・・)」



75 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:37:23.73 ID:RYVa77880
ザッザッザッ・・・


澪「(学校は楽しい・・・仲の良い友達も数人できた)」

澪「(それももうすぐで卒業・・・離れ離れになっちゃう)」

澪「(・・・まか律とは一緒だけど)」

澪「(でも、それでも多くの友達がいなくなって・・・高校生になる)」

澪「(そこからまた・・・友達も、新しく作り直しだ)」

澪「(・・・うう、緊張するなぁ・・・また自己紹介しなくちゃいけないんだ)」



78 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:40:09.38 ID:RYVa77880
ザッ・・・

澪「!」


ヒュゥゥゥウウ・・・

澪「・・・さむっ・・・」

澪「(・・・無意識にまた・・・この人通りのない道に入っちゃったな)」

澪「(近いといえば近いんだけど・・・)」

澪「・・・」

澪「・・・うう、怖い・・・」

澪「(・・・でもいいや、こっちから帰ろう・・・怖くても、慣れなきゃ)」

澪「(今のうちから慣れないと・・・新しい事に、色々と)」


ザッザッ・・・



81 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:42:46.36 ID:RYVa77880
ザッ・・・

澪「・・・」

澪「・・・確か・・・ここだ」

澪「(ここでレコーダーを踏んづけて・・・へんな音出しちゃって)」

カチャ

『・・・』

澪「(・・・どうして、これはここに捨てられていたんだろう)」

澪「(やっぱり、声が怖いからかな・・・うーん、でもこれ高そうだし)」

澪「(捨てるというよりも、落とした・・・?どうなんだろう・・・)」


??「・・・」



83 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:44:48.35 ID:RYVa77880
澪「・・・(ブルッ」

澪「(思い出したらちょっと怖くなってきた・・・さっさと帰ろうっと!)」


タッタッタッタッタ・・・・タッ、タッ、タッ・・・


澪「・・・・え?」

タッ、タッ、タッ、タッ・・・

澪「(足音)」

澪「(私じゃない)」

澪「(後ろ・・・)」


澪「(誰か・・・いる・・・?)」



84 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:47:46.53 ID:RYVa77880
??「・・・おい」

澪「ひっ・・・!」

??「止まれ、ゆくな」

澪「や・・・やあっ・・・!?」

ダッ

澪「(ストーカーだ!尾けられてたっ・・・!)」

澪「(やだ・・・やだよ・・・!怖い・・・!)」


がしっ

澪「あっ・・・!?」

??「待てと・・・言って・・・」

澪「や、やだ!離してっ!やめ・・・!」

??「こ、こら・・・うぐっ」

澪「・・・!?」
  


86 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:50:54.53 ID:RYVa77880
老人「ぐ・・・ごっ、・・・ふっ・・・ふーっ!ふー・・・!」

澪「!・・・あ・・・ああ・・・」

老人「待て・・・あまり大きな声を・・・出・・・げほっ、・・・く・・・」

澪「(・・・あれ、この声って・・・)」

老人「たのむ、から・・・っ・・・はっ、はっ・・・」

澪「!」

澪「わ、わかっ・・・わかった、静かにしますから・・・!」

老人「・・・はっ・・・は・・・!く・・・」


老人「・・・・それを」

澪「・・・え?」

老人「・・・私の・・・げほっ」

澪「だ、大丈夫ですか・・・!?」



87 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:53:40.84 ID:RYVa77880
老人「・・・ふぅぁ・・・いくらか・・・落ち着い・・・」

澪「ひっく・・・うう・・・」

老人「・・・ぁんで、お前がベソかく・・・」

澪「だ、だって・・・怖い・・・」

老人「・・・驚かせちまった・・・すいません」


老人「・・・ちょい、ここでは・・・話せない、事なので・・・」

澪「・・・?」

老人「あっちの、小さい公園の・・・ベンチで」

澪「・・・」

澪「(パジャマ姿・・・しわくちゃな顔・・・顔色はよくない)」

澪「(・・・けど、悪い人じゃなさそうだ)」



89 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/04(金) 23:56:37.48 ID:RYVa77880
老人「くふっ・・・おっほ・・・っ・・・」

キシ

澪「・・・大丈夫ですか?どうしてこんな・・・」

老人「・・・病院からな、抜け出した」

澪「え」

老人「・・・どうしてもな、やらにゃ、ならないことが・・・あって」

澪「し、死んじゃいますよ、無理しないでください」

老人「・・・」

老人「そいつがな」

澪「?」

老人「その、レコーダー・・・そいつにな、私の・・・残さんとな、死にきれんのだよ」

澪「・・・このレコーダー、ですか?あ、じゃあやっぱりあなたは」

老人「・・・」



90 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:00:49.02 ID:DcXCdW/o0
老人「そいつの使い方を覚えるのに苦労したよ、なんせな、書をみても、難しいのなんのってな」

澪「あ、わかりますわかります」

老人「孫はちょい、ちょいっと、使えるんだが、私はどーも・・・」

澪「あはは」

老人「君のようなね、若い子にはできるだろうが・・・私が覚えるのには、2カ月もですよ」

澪「(レコーダーの使い方を覚えるのにそんなにかかるのか・・・)」


澪「・・・え、えっと・・・このレコーダーで、何を録音しようと思ったんですか?」

老人「・・・」

澪「やっぱり何か必要だったから、そんな二カ月も使い方を勉強したわけだし・・・」

老人「・・・ああ、ちいと、な」



91 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:04:49.58 ID:DcXCdW/o0
老人「・・・私はもうね、体が長く、もたんのですよ」

澪「・・・そんな」

老人「いやいや、もう長いこと生きましたから、十分です」


老人「・・・孫にも不出来な息子にも、私から教えられることは教えた」

老人「もうみんな独立して、安定した生活も、できている」

老人「・・・それが、親のつとめでありますからな」

澪「(・・・良いおじちゃんだ)」


老人「・・・ただ、やり残した・・・ことがあって」

澪「・・・やり残したこと」

老人「ああ・・・やり・・・うん、そうだ、そうですよ」

老人「・・・君もね、若いうちにやりたいことはやっておくといい・・・やり直しは、できんのです」

澪「・・・」



92 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:08:48.07 ID:DcXCdW/o0
老人「・・・ま、それに、この機械が必要なわけ」

澪「な、なるほど」

老人「・・・」

澪「・・・?」

老人「このレコーダー、欲しいならあげてもいいんだが」

澪「!え、ええっ、いいですいいですっ、悪いですしっ・・・」

老人「はっは、いいのいいの、使い終わったら君へあげよう、どうせ私は、一度しか使わないし」

澪「・・・そ、それ・・・でも・・・」

老人「お礼ですお礼、こんな、死に損ないの私の話を聞いてくれた・・・それが、いや、久々に嬉しくてですね」

老人「それにちゃんと返しにきてくれた・・・最近の子にしちゃね、よくできた、いや、あなたは良い子です」

澪「・・・そ、そうですか・・・?」



95 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:13:53.45 ID:DcXCdW/o0
老人「・・・けほっ・・・ふう、苦しい・・・」

澪「! あ、そうだ病院から抜け出したって・・・!?」

老人「ふふ、今から戻るから、大丈夫・・・・ゴホッ」

老人「・・・ふっ・・・ちょっと、苦しいだけなんで、大丈夫、病院は近い」

澪「・・・あの、さっき言ってもらった言葉なんですけど・・・」

老人「・・・ん?」


澪「・・・人の体だって、やり直しはきかないんですよ」

老人「・・・はっはっは、そうだな」

澪「労ってください・・・息子さんや、お孫さんもいるんですから・・・もし、もしものことがあったら」

老人「・・・ふ、良い子だな」

老人「・・・ぁー、そうだな、そうしよう、体は大事にするよ、けほ」

老人「・・・では、いや、ご迷惑、おかけしましてもぅしわけな・・・」

澪「い、いえいえ・・・おだいじに」

老人「ええ」

ザッ、ザッ、ザッ・・・



96 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:16:06.07 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・」

澪「(良い人、だったな・・・)」

澪「(正直、声はよく聞き取れなかったけど・・・でも、良い話をしてくれた気がする)」

澪「(・・・あ、名前・・・聞き忘れちゃったな・・・)」

澪「・・・」

澪「(・・・やり直しはできない・・・かぁ)」


澪「・・・よし、明日は学校だな・・・勉強、がんばるかっ」


タッタッタッタッ・・・



99 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:22:22.86 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・(ボーッ」

律「・・・」ヒョコッ


澪「(あの人・・・あのレコーダー使って・・・何を録音しようとしたんだろう)」

澪「(病院を抜け出してまで・・・あんなに、まだまだ苦しそうだったのに)」

澪「(・・・気になるな・・・一体どうして)」
律「わっ」
澪「!!!!」

ガタンッ

澪「っ・・・ったぁああ・・・腰が・・・」

律「はは、すまんすまん、驚いたー?いやーしかし椅子から転げるとは思わなかったわー」

澪「・・・」


澪「この、バカ律!」

ごつっ



100 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:24:21.84 ID:DcXCdW/o0
律「・・・しっかし月曜日なのに上の空だなー」

澪「え?そ、そうかな・・・」

律「そうだよ、なんかぽーっとしているっていうか」

澪「・・・ちょっと考え事をしててさ」

律「なにっ、まさか・・・」

澪「?」

律「・・・だれだよ、その好きな男ってのはっ」

澪「もう一発欲しいんだな」

律「え、違うの?」

澪「・・・そ、そんなわけないだろっ」

律「(怪しいなぁ)」



101 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:28:59.20 ID:DcXCdW/o0
律「(あー、数学全っ然わかんねー・・・)」

澪「(えーっと、ここを代入だから・・・あ、こうか)」サラサラ

律「(澪は全然簡単そうに解いてるし・・・テスト勉強はまた澪に教えてもらおう・・・)」

澪「(・・・ここで・・・うん、よし・・・合ってるな)」


澪「・・・」

澪「(やり直しはできない・・・・つまり)」

澪「(青春は戻ってこない・・・ってことかな)」

澪「(・・・確かにそうかも)」サラサラ

澪「(・・・勉強はやっといて損は無い・・・よなー・・・)」サラサラ



102 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:31:57.67 ID:DcXCdW/o0
キーンコーンカーンコーン


律「あぁぁあー、やっと終わったぁー!」

澪「最後の一時間は辛そうだったな、律」

律「いやーだってもうね、ぜんっぜんわかんなかったし」

澪「そこ、胸を張るとこじゃないぞ」


律「でさでさ、今日はどうする?」

澪「え?今日?・・・今日か」

律「なんだか最近は川辺でじゃかじゃかやるのもマンネリ化してきたしさ、気晴らしにどっかいこうよ!」

澪「あー・・・うん、そうだなー・・・」



103 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:36:45.58 ID:DcXCdW/o0
律「楽器屋ねー」

澪「ごめんな、付き合わせちゃって・・・」

律「んー?いいのいいの、どうせ暇だし、澪の新しいベース見てみたいし」

澪「ま、まだ今日は買えないんだぞ?」

律「それでもいいって、ささ、入ろ入ろ」


澪「・・・おー・・・」

律「・・・いやー、この、独特のにおいがたまんないよねー・・・」

澪「あー・・・なんかそれわかるー・・・」

律「幸せになるよなー・・・」

澪「うん・・・」



105 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:42:55.23 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・」

律「なるほど、これが目標なのね」

澪「・・・7万・・・」

律「・・・たっけーな・・・やっぱり数無いからかな」

澪「うう・・・中学生の財布じゃ届かないよ・・・」

律「まあまあ、買うなら私もお金出してあげるから」

澪「・・・ほんとー・・・?」

律「少しはね」

澪「うう・・・ありがとうりつー・・・」

律「よしよし」



107 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:45:19.60 ID:DcXCdW/o0
律「ところでさ、あれ、どうなった?」

澪「あれ?」

律「昨日のレコーダーだよ」

澪「・・・ああ・・・うん」

律「? いざとなれば・・・やっぱりちょっと苦しいけど、あれを売ればすこしはお金の足しにはなるでしょうし・・・」

澪「・・・あの、律、あのな・・・実は・・・」

律「?」



108 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:48:07.20 ID:DcXCdW/o0
律「・・・えっと、つまり・・・老人にストーキングされて怖かったけど実はそんなんじゃなくて」

澪「うん」

律「その人が実はレコーダーの持ち主で・・・」

澪「うんうん」

律「十分くらいお話してから、そのおじいさんは病院に帰っていったと」

澪「そうだよ」

律「・・・病院を抜け出してねぇ・・・パワフルなおじいさんだこと」

澪「・・・あんまり、元気そうじゃなかったけど・・・」

律「ああ・・・そっか」



109 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:50:06.52 ID:DcXCdW/o0
澪「レコーダーに声を入れたのは、その人だったよ」

律「・・・なんでまた、死にそうなときに声を入れるかねぇ・・・」

澪「・・・それは・・・私にもよくわからないな」

律「老人の考えることはわかんないなー」

澪「・・・」


ブロロロロ・・・ブロロロ・・・




律「・・・遺言、かな」

澪「え?」



110 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:52:11.40 ID:DcXCdW/o0
律「だってそれしかないでしょ、よぼよぼのおじいちゃんが死にそうなときに残したいものっていったらさ」

澪「・・・そ、そんなこと言わないでよ、怖いだろ・・・」

律「そうか?怖くはないと思うんだけどな・・・」

澪「うう・・・」


律「レコーダーに残しておきたい・・・自分の口からは言えないことだったり」

澪「・・・」

律「あり得るよね?」

澪「・・・かも、しれないけどな・・・」

律「だろ?」



111 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:54:34.94 ID:DcXCdW/o0
澪「でもだからって・・・」

律「ん?」

澪「だからって、どうするっていうんだよ」

律「・・・そうだな」


律「あはは、遺言とかだったからって、私たちには関係ねっか!」

澪「・・・そう、だな」

律「あはは、ばからし、早く行こうぜ、もう信号青だよ!」

澪「あ・・・・律待ってー」


タッタッタッタッ・・・

澪「(・・・あのおじいちゃん・・・一体何を、レコーダーに入れるんだろう)」

澪「(ちょっと・・・気になる・・・な)」



112 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 00:58:05.53 ID:DcXCdW/o0
ごろん


澪「(・・・ふー・・・やっぱりベッドは落ち着くなぁ・・・)」

澪「(今日は沢山歩いたから・・・へとへとだ・・・)」

澪「(・・・)」

澪「・・・疲かれた・・・けど」

ガバッ

澪「・・・時間を無駄にしたくない」

澪「(・・・何かするか・・・作曲・・・作詞・・・)」

澪「(あまりやったことないけど・・・)」

澪「(・・・やってみよう、チャレンジしてみよう)」



113 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:01:09.94 ID:DcXCdW/o0
カリカリ・・・

澪「(やっぱり詞は可愛くないと・・・うん、良い感じ)」

澪「(“おひさまのにおいのベッドであったかく包んで”・・・うん、筆が進む)」


ヴーッ、ヴーッ

澪「! (メールだ)」カパ


『律:よーっす、明日どっかいかない??』

澪「律か・・・・別に・・・いいよ・・・っと」

澪「・・・」

澪「(明日か・・・どこ行こうかな・・・)」



115 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:03:34.99 ID:DcXCdW/o0
『律:どこにする?』

澪「・・・あ、やっぱり来たか・・・うーん・・・」

澪「ファーストフード店でもいいけど・・・なんだかな」

澪「・・・」

澪「・・・そうだ」


澪「・・・・病院・・・に、立ち寄って・・・みたいん・・・だけど・・・っと」

澪「・・・律、怒るかなー・・・」


澪「(・・・やっぱり、あのおじいさんのこと、・・・他人なんだけど、ちょっと気になる)」



116 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:05:58.18 ID:DcXCdW/o0
ヴーッ

澪「!」

『律:良いよー、私もそのおじいさん、ちょっと興味あるし(笑)』

澪「お・・・やった、OKしてくれた」

澪「・・・」

澪「(でもどうしよう・・・行って・・・なにをすればいいんだか)」


澪「・・・うーん、歌詞も・・・つまったな」

澪「(・・・寝るかぁ・・・)」ボフッ


澪「(・・・おやすみ)」



119 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:15:01.45 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・すー・・・すー・・・」

ヴーッ、ヴーッ・・・

澪「・・・ん」


『着信:3件』

澪「・・・」

澪「・・・!っば・・・!もう11時・・・!」

澪「えっと、えっと、確か集合は・・・ああああっ、ごめん律~・・・!」

澪「き、着替え着替え・・・!」アタフタ



120 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:18:02.31 ID:DcXCdW/o0
澪「ごめん!」

律「遅いぞ澪ー」

澪「本当にごめん!」

律「ったくもう・・・まあ、いつもは私が遅れてるから別にいいけどね」

澪「うう・・・不覚だ・・・アラームで起きられなかったなんて・・・」

律「あはは、よくあるよねー」

澪「ごめんね律ー・・・」

律「だからいいってー、さ、行こう行こう」



121 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:21:20.19 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・うー・・・」

律「さむいなー・・・さすが冬だぁあ・・・」

澪「ああ・・・こう、手先にくるよな」

律「うんうん、じーんってくるよなー・・・学校じゃひどい時はペン持てないし」

澪「あ、それ私もたまにあるー」

律「ほんと、かじかむと辛いよな・・・ベースとかだと弦も冷えるんじゃない?弾けないでしょ?」

澪「あー、あるな・・・それにボディがひんやりしてるし・・・」

律「うっわ、それは嫌だなー・・・」



123 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:23:34.95 ID:DcXCdW/o0
ザッザッ・・・

澪「・・・ここがそうだな」

律「あ、ここなんだ?全然近いじゃん」

澪「・・・うん」

律「・・・あれ、でもさ」

澪「?」

律「そのおじいちゃんの部屋の番号とかわかってんの?」

澪「・・・あっ」

律「・・・おいおい」

澪「どうしよう・・・」



124 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:26:06.77 ID:DcXCdW/o0
受付「・・・?はぁ・・・声のしわがれた・・・・と言われましても・・・」

澪「む、無理だって・・・!帰ろうよ!後でおごってあげるから!」

律「あ、諦めてなるものかっ!この病院にいることは間違いないんだっ!」

澪「だって名前も知らないし・・・」

律「部屋をひとつひとつ調べればいいのよっ」

澪「それこそ迷惑だバカっ」

ごつっ


律「・・・どうするんだよ」

澪「・・・どうしよう・・・か・・・」



125 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:30:06.13 ID:DcXCdW/o0
??「・・・おんや」

律「んぇ?」

澪「・・・あっ・・・!」


老人「おお、こないだお会いした、いやしっかりした女の子じゃないか」

律「(あ、この声だ)」

澪「あ・・・こ、こんにちは、お元気そうでなによりです・・・」

老人「はっは、この人生しぶとさだけが取り柄でしたもんで・・・」

律「あ、あの、澪の友達の律っていいます・・・はじめまして」

老人「・・・ほう、ミオちゃんとリっちゃん・・・か、はっは」

澪「・・・りっちゃん・・・ふふ」

律「な、何がおかしい!?普通だろ!普通!」



133 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:40:55.47 ID:6gaaV8RKO
老人「いやー、見たことあるなーっていう顔見たらね、いやこの前会った子じゃないかってね」

澪「覚えていてくれたんですか・・・あ、ありがとうございます・・・」

老人「なに、綺麗な子じゃったからな」

澪「(ボッ」

律「(あ・・・)」


老人「・・・ああ、そうだ、こいつを、約束だったな」ゴソゴソ

澪「え・・・・あ、はい?」

老人「ほれ」

澪「あ、・・・これ」

律「レコーダー・・・いいんですか?これって使うんじゃ」

老人「はは、もう録音し終えた、だからもう、いいんだ、あげるよ」



137 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:46:26.01 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・ありがとうございますっ」

律「あ、ありがとうございますっ」

老人「はは、いいんだ、もう必要ないからね」

澪「・・・」ポチッ

ジーッ・・・

澪「・・・」ポチッ

『アンドゥ ヲ ドウゾ』

澪「ううっ・・・やっぱり怖い・・・」

律「デリケートだなー」

老人「・・・はっは・・・」



140 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:49:18.45 ID:DcXCdW/o0
律「でさでさ、ていうかさ澪ー」

澪「・・・え?」

律「このさ、」ポチ、ポチッ

『アンドゥ ヲ ドウゾ』

澪「ひい・・・」

律「あんどぅをどうぞ ってなんなのかな、気になってたんだけど」

澪「・・・?うーん・・・なんだろうな」

老人「・・・・英語は、わからん」


澪「・・・UN DO をどうぞ・・・かな」

律「?どういう意味?」

澪「えーっとつまり・・・うーん」

澪「やり直しをどうぞ・・・って感じかな」

老人「・・・」



141 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:51:45.87 ID:DcXCdW/o0
老人「やり直し・・・か・・・ふ、ふっふ」

律「?」

老人「ちょっと、散歩に・・・でかけようかな」

澪「あ、じゃあ私たちも付き添います」

老人「?ほう、こりゃいい、両手に花か、はっは」

律「おじいちゃんは幸せ者だよー、あはは、なーんて」

老人「・・・はは、幸せ者か・・・そうだな」


老人「・・・幸せ者だ、私は」



142 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:54:11.06 ID:DcXCdW/o0
律「わ、広い庭ー」

澪「・・・病院の近くの公園ってすごいよなー・・・」

老人「いいところだ、じいっと、考え事ができるからな」

律「ふーん」


老人「・・・どっこいせっ・・・っと」キシ

澪「・・・辛くないですか?どこか痛くないですか?大丈夫ですか?」

老人「ん?・・・はは、大丈夫大丈夫・・・一晩ゆっくりしてな、もう元気になった」

澪「・・・・よかった」



143 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 01:56:34.56 ID:DcXCdW/o0
律「・・・あー、のどかだねぇ・・・」

澪「・・・だなー・・・」

老人「冬はな、あまり人がいないが・・・夏はもうね、すごい人ですよ、子供が走り回るくらい」

律「へぇー・・・和むなあ・・・」

澪「・・・」


澪「・・・そうだ律、丁度良いし・・・」

律「!」

澪「丁度、もってきてるだろ?」

老人「?」

律「・・・ここでやんの?」

澪「・・・うん、なんだか、気分がいいからなっ」



144 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:00:00.53 ID:DcXCdW/o0
~♪
ドンドン、ボーンボンボン、

老人「・・・」

ドンドン、ダンダダダン
ボーンボーン


老人「・・・」

ドンドン・・・ドン・・・ダッ・・・ダダダダッ・・・

ドゴォーン・・・ ダダダダ・・・

“突撃ー!怯むな!我々には天皇の加護がついている!”
“軟弱な米兵など、蹴散らしてしまえ!”
“く・・・くそ、何故銃撃が許可されない・・・!”
“このままでは・・・”


老人「・・・!げほっ・・・」



146 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:03:38.50 ID:DcXCdW/o0
澪「!」
律「!」

老人「ごほっ・・・だ、大丈夫・・・」

律「お、おい!口から血が・・・!」

澪「おじいちゃん!?し、しっかり・・・!」

老人「ぐ・・・ふぁ・・・良い・・・音だったよ・・・はっは・・・かはっ・・・!」

澪「しっかり・・・!だ、誰か・・・誰か!救急車・・・!」

律「落ち着け澪!病院は目の前だ!」

老人「はぁ・・・はっ・・・は・・・っ・・・!」

老人「(・・・帰れる・・・帰れる・・・帰りたい・・・戻りたい・・・)」

老人「(もう・・・罪は償った・・・いや、わからない・・・だがやれることはした・・・)」

老人「(・・・もう、良い・・・終わりだ・・・帰ろう・・・やっと・・・)」



149 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:07:05.75 ID:DcXCdW/o0
ガラガラガラ・・・

老人「はっ・・・はっ・・・」

澪「大丈夫・・・もうすぐ手術室につくからな・・・!」

老人「・・・はっ・・・は・・・」

澪「やだ・・・やだやだやだ・・・」

ガラガラガラガラ・・・

老人「・・・ミオ、ちゃんか・・・」

澪「・・・え?」

老人「・・・悔いの・・・ないように、なッ」

老人「ガボッ・・・ごほ、っ・・・っ・・・」

澪「・・・・~!!」

律「澪!もういい!」

澪「で、でも・・・!・・・うう・・・!」



151 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:10:17.28 ID:DcXCdW/o0
“手術中”

澪「・・・くすん・・・くすん・・・」

律「・・・」

澪「律・・・怖いよ・・・人が、目の前で・・・人が・・・」

律「・・・・私だって・・・はじめてだって」

澪「・・・ううっ・・・」

律「くそ・・・演奏の途中で死ぬなんて・・・やめてくれよ・・・」

澪「・・・私のせいだ・・・本当は庭へ散歩に行くなんて・・・無理だって、わかってたのに・・・」

律「・・・澪は悪くないよ」


律「・・・寿命・・・だったんじゃないの」

澪「・・・」



153 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:14:23.86 ID:DcXCdW/o0
老人「・・・っ・・・」

十字砲火・・・生還できたのは、私が腰ぬけだったから。

いや、わかっていた。みんな逃げたかっただろう。勝てるはずがないとわかっていたのだ。

だが私はみんなよりも遥かに腰ぬけで、その砲火をみるなり、すぐに逃げてしまった。

逃げ、さまよい続けた揚句に捕虜となり、死んだ仲間の仇などうつこともできず。

ただ、あの気立てのいい米兵が差し出してくれた粥を・・・うまそうに食った。

死んだ仲間はこれを食えないのに。



155 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:17:01.37 ID:DcXCdW/o0
教えられたうちでは、米兵は鬼畜であるという。

・・・そうでもない。少なくともこの作戦の指揮官よりは。


そんなとき、事件が起きた。この檻での生活にも慣れて数日数週間後のこと。

仲間が助けにきたのだ。

それは夜襲。檻を破り、私を逃がそうとしてくれた。

そこに居合わせていた“敵”はひとり。


私に優しく接してくれていた、気立ての良い米兵だった。



158 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:20:05.50 ID:DcXCdW/o0
米兵は捕えられた。逆の立場だ。

森林をさまよい続ける過酷な生活。

逃亡劇の終わりは、袋につめられた兵糧の少なさが語っていた。


だが。

だが。

・・・ああ。

何故だ。

やり直したい。やり直したい。許されるのならあの時へ。



『UNDO ヲ ドウゾ』



159 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:21:57.72 ID:DcXCdW/o0
医師「・・・」フルフル

澪「・・・ああ・・・」

律「・・・」

澪「・・・ぅう・・・」

律「・・・行こ」

澪「う・・・ううっ・・・なんで・・・なんでぇっ・・・?」

律「・・・さ、私たちは・・・部外者だから・・・」

澪「や・・・やだ・・・やだやだ!絶対に・・・!」

律「・・・」

澪「・・・あんな優しい人が・・・どうして・・・!」



160 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:24:12.03 ID:DcXCdW/o0
バン、バン

律「・・・」

ボーン・・・

澪「・・・」


律「・・・っはー・・・なんだか、嫌な気分だぜ」

澪「・・・ぐすっ・・・」

律「・・・おいおいどうしたよー・・・いつもの強気な澪はどこにいっちまったんだー?」

澪「だって・・・・だって・・・」

律「・・・はぁ」


律「(さすがに・・・澪にはショックでかいか・・・)」



162 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:26:52.12 ID:DcXCdW/o0
澪「ぐすっ・・・・・律」

律「・・・ん?」

澪「・・・どうして・・・人って死んじゃうのかな・・・」

律「・・・さあ・・・私は頭悪いからな、澪のがよく知ってるだろ」

澪「・・・くすん・・・くすん・・・」

律「・・・死ぬと・・・悲しい、よな」

澪「・・・」

律「なんだか、よくわからないけどさ・・・なんていうか」

澪「・・・」

律「・・・はー・・・、なんだか、だめだな・・・」

澪「・・・」



163 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:30:04.51 ID:DcXCdW/o0
律「・・・」

ザァァァ・・・

律「風、今日も良いなー」

澪「・・・」

律「風が吹いて、草が揺れて・・・音を立てて・・・」

澪「・・・」

律「・・・おいおい、いつまで黙ってるつもりだよ」

澪「・・・ぐすっ・・・」

律「泣いてちゃなにもできないぞっ?」

澪「・・・うん」

律「・・・ほら、元気だしなよ!明日も学校なんでしょ!」

澪「・・・うん」

澪「・・・うん・・・元気出す」

律「・・・よし」



167 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:36:03.90 ID:DcXCdW/o0
よくわからない数日間だった。

思い起こせばほとんど律と一緒にいて、練習ばかりしていたけれど。

でもそこにひとつ、思いもよらぬパズルの1ピースが飛び込んできて、

・・・それが今、私の胸の中でパズルをごちゃごちゃにしている。


ひとつのコンパクトなレコーダー。

これを拾わなければ、どうなっていたのかな。

何か変わっていたのかな。

あのおじいさんはどうなっていたのかな。

私は・・・・。

・・・わかんないや。

・・・でも

がんばるしか、ないんだよね。



170 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:42:43.17 ID:DcXCdW/o0
澪「おはよー」

律「おう、おはよー!澪、昨日は大丈夫だった?」

澪「ああ、そんな何日も続けてくよくよしないさ」

律「昨日あんなに泣いてたくせにー・・・みんなに言っちゃお!」

澪「ばっ・・・・やめろー!」

ごつっ


澪「・・・ああ、そうそう、新しいベースね、お小遣い前借とテストの成績次第でお金出してくれるって!」

律「え・・ほんと!?」

澪「ああ、昨日勇気出して交渉してみたらやんわり許可してくれたんだー」

律「おおおー・・・・よかったなぁ・・・じゃあやっと、ガラス越しのフェンダーを買えるなっ!」

澪「ああ、やっとね・・・」


澪「(・・・なんでも、やってみれば上手くいくもんだなぁ・・・)」



172 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:45:49.80 ID:DcXCdW/o0
律「あれ?じゃああれはどうするんだ?」

澪「あれ・・・ああ、レコーダー・・・・ね」

律「売る?スタジオ代になるけど・・・使うっていうのもなんかねー」

澪「・・・うん・・・使うのはちょっと・・・怖いかな」

律「・・・あんなことがあった後だしな・・・」


澪「・・・そうか・・・じゃあ、あのレコーダーは・・・」

律「スタジオ代だな、はは」

澪「・・・そういう言い方はなんかやめろー」

律「えー、だってそうじゃん」



176 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:48:42.50 ID:DcXCdW/o0
ガチャ

澪「ただいまー」

タッタッタッタッ・・・

澪「・・・」ガチャ

澪「・・・ふー・・・」ボフッ


澪「ベッドは良いなぁ・・・ふかふか・・・ふわふわ・・・」

澪「ふかふか・・・ふわ・・・ん、歌詞作れるかも・・・」

澪「・・・」

『・・・』

澪「・・・レコーダー・・・か・・・」



179 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:51:04.01 ID:DcXCdW/o0
澪「・・・えっと、確か・・・電源・・・」

澪「・・・これか」

ポチッ


“04:05”

澪「・・・わ、長い・・・ってあれ、この録音してあるやつってもしかして・・・」

澪「・・・」

澪「・・・さ・・・再生・・・」

ポチッ

ザ、ザザザ・・・



181 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:54:53.19 ID:DcXCdW/o0
『・・・ああ・・・ええ・・・はい・・・』

『・・・』

『・・・大将様が、許してくれるなら・・・帰りたい、です・・・』

澪「(やっぱり、あのおじいさんの声・・・録音したのがここに入ってたのか)」

『こんな立派な人間を、殺さなきゃ、ならんかって』

澪「・・・?」

『海軍の、陸戦隊で・・・ガダルカナルまで、行ったわけ』

『・・・そこで私は・・・とんでもない失敗を、・・・しちもうた』


澪「(・・・なに・・・・これ)」


『・・・実に、気立てのいい、上等兵・・・じゃった』



183 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 02:59:02.02 ID:DcXCdW/o0
『緊張するってことは、すごいもんでね』

『もう、息吸うったって、声が、出ないんですよ』

『はぁはぁ、はぁ、はぁ、』

『・・・これだ』


『よしやろう、ってんで、・・・殺しちまった』

澪「・・・!」ゾクッ




『・・・その肉を



184 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 03:00:46.12 ID:DcXCdW/o0
っちまった』

澪「(うっ・・・うえ・・・!)」

『実に、気立てのいい、上等兵・・・じゃった』


澪「(やだ・・・やだ・・・何、この話は・・・)」

澪「(・・・聞きたくない・・・)」

澪「(怖い、聞きたくない・・・嫌だ、嫌だ嫌だ・・・)」



186 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 03:03:34.35 ID:DcXCdW/o0
『・・・せっぱつまって、ゆくゆくの窮地に追い込まれた・・・』

『・・・結果の、やり方です』

『・・・それ以外に、やりようがなかったから、やった』

『・・・・私の、言えることは・・・それだけなので・・・』


澪「・・・ぐすっ・・・・ぐすっ・・・」

『・・・どうも』

澪「うっ・・・ううっ・・・」

『長々と・・・駄弁りました』

澪「ぐすっ・・・う・・・うう・・・!」


ピー

『UNDO ヲ ドウゾ』



190 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 03:08:23.31 ID:DcXCdW/o0
レコーダーは売りもしなかった。

お寺にあずけて、供養のようなものをしてもらってから・・・丁寧に処分した。

律にはレコーダーを聞かせてはいなかったけど、反対はしなかった。

ただ静かに頷いて、「澪のしたいようにすればいいんじゃない」と、言ってくれた。

なので私はそれを、処分した。

後悔はしていない。

・・・あのおじいちゃんが残してくれた・・・死ぬ気で、本当に死ぬ気で残してくれたものなのに。

私はそれを、葬ってしまったんだ。

罪なことかな。許されないことかな。

でもやり直しは効かないし、後悔もしたくないから。

私はそれを、自分の行いを正しいことだと思ってる。

捨てたのは、自分の恐怖からではない。残してはいけないんだ。

そう、思ったから。

・・・・自分勝手、かな。



191 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 03:10:41.18 ID:DcXCdW/o0
律「おい澪!もっかいやろうぜ!」

澪「え、また?」

律「おう!せっかく唯がやる気出てるんだ、今しかないぜ!」

澪「・・・律だって普段はお茶飲んでばかりのくせに」

律「ぁあん?」

澪「・・・ふふ」

澪「なんでもないよ、やろうか」

唯「よーし、今度こそ合わせるぞー!」

紬「ふふ」


律「よし、じゃーいくよー!せーの!」



192 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 03:11:27.31 ID:6gaaV8RKO
おわり

ピー

UNDOヲドウゾ



193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/09/05(土) 03:12:50.61 ID:t5OO3yelO
消化不良が否めないが・・・乙!



199 :1 ◆1pwI6k86kA :2009/09/05(土) 03:15:50.78 ID:6gaaV8RKO
原曲
UNDOをどうぞ/平沢 進

これを書くためだけに友達から単行本借りたりネットでアニメ漁ったりしてけいおんの知識付けた







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[ 2009/09/06 22:00 ] けいおん!SS | TB(0) | CM(5) | このエントリーを含むはてなブックマーク


見終わってからスレタイ見直したら泣けた・・・
[ 2009/09/07 21:49 ] [ 編集 ]


やるじゃん
[ 2009/09/07 22:00 ] [ 編集 ]


http://www.nicovideo.jp/watch/sm1626026
21:00 UNDOをどうぞ
[ 2009/09/07 23:55 ] [ 編集 ]


このごろ良いスレいっぱいだわ・・・
[ 2009/09/09 19:44 ] [ 編集 ]


カオスすぐる
[ 2009/09/10 16:58 ] [ 編集 ]
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けいおん系SSばっかりです。


ひさびさに左上更新してみましたw


とはいえ特に書く事もありませんが(笑)


このブログも開設から1年以上経過するんですね…


とりあえず「けいおん!!」のアニメが終わるまでは頑張って更新し続けたいと思います
2010年7月24日


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